最愛の妻、澪を失って1年。一人息子の佑司と暮らしていた巧は、ある日、散歩をしていた森で亡くなったはずの澪に出会う。喜ぶふたりだったが、澪は過去の記憶を全て失っていた。, 2004年に実写映画が公開、海外でもリメイクされた市川拓司の作品、『いま、会いにゆきます』。, 妻を亡くしてから、息子・佑司と慎ましく生きていた主人公、巧。喪失感を抱えていた彼には、ひとつ気がかりなことがありました。それは、亡くなる前に澪が残していた不思議な言葉。, 「またこの雨の季節になったら、二人がどんなふうに暮らしているのか、きっと確かめに戻ってくるから」, 澪はその約束を守るかのように、雨の日に二人の前に姿を現します。しかし、彼女は自分の名前すらも忘れていました。そんな澪を連れて帰った巧は、再び三人で暮らすことを提案するのでした。, 記憶を失った澪のために、毎晩寝る前に出会いの思い出を語る巧。澪は次第に巧と佑司のことを愛しく思い、心を通わせていきます。その一方で、澪は雨の季節の終わりとともに自分が二人の前から再びいなくなることを知ります。, 過去の記憶を失ってはいるものの、彼らとの暮らしを経て、新たな思い出を作っていく澪。なぜ澪は雨の季節に再び帰ってきたのか。全てが明らかになったとき、静かな感動に包まれるはず。雨の季節が舞台のこの物語は、梅雨の季節に読めば一層世界観に浸ることができるでしょう。, じっとりとした暗い雨、優しく降る恵みの雨と、雨は登場人物の心境や場面によってその印象を自由に変えるもの。そう考えると、これまでの雨のイメージも少し変わるようにも思えませんか?, 雨の季節は、雨が印象的な小説の情景をイメージするのにはぴったりです。ぜひ、雨の日に読んで、その世界観にぐっと浸ってみてはいかがでしょうか。, 『名探偵夢水清志郎』シリーズや『怪盗クイーン』シリーズなどの作者で、児童文学作家として幅広い世代のファンから愛され続けているはやみねかおる。今回は、そんなはやみねかおるのおすすめ作品と読みどころをご紹介します。, P+D BOOKSより復刊した、福永武彦の『海市』について、長男である池澤夏樹氏が、「愛とエゴイズム」というタイトルであとがきを寄稿しています。芥川賞作家である池澤氏が、父・福永武彦の作品について語った文章を、是非チェックしてみてください。, 2020年は、ミステリの女王、アガサ・クリスティーの生誕130周年にあたる年です。これまでクリスティー作品をあまり読んだことがないという方に向けて、『オリエント急行殺人事件』、『そして誰もいなくなった』といった代表作の読みどころをご紹介します。, 有川ひろの代名詞といえば「ベタ甘小説」ですが、今回はそんな有川ひろの作品の中から、特におすすめの3作品を紹介します。, 名作には名言が隠されていることがあります。今回紹介する「太宰治」作品にも名言がたくさん。「太宰治」の名言と、それにまつわる作品を紹介します。, 人気Webライターのカツセマサヒコ氏の初めての小説、『明け方の若者たち』をはじめ、近年ではWebのインフルエンサーと呼ばれる人たちが小説作品を書き、話題を集めることも増えてきました。今回は、Webを中心に大きな話題になった、3冊の恋愛小説をご紹介します。, 直木賞受賞作家であり、2018年には本屋大賞も受賞するなど、若い世代を中心に絶大な人気を誇る作家、辻村深月。作品に漂う独特な「孤独感」をテーマに、辻村深月作品の魅力をひも解いていきます。, リアリティのある舞台をエンタテインメントに紡ぎ上げる名手・三浦しをん。作品の舞台は枚挙にいとまがないほどですが、見渡すと「ある特殊な世界で、ひたむきに生きる人たち」というテーマが見えてきます。ひたむきに生きる主人公の姿が胸を打つ作品が多い、三浦しをんのおすすめ作品5選を紹介します。, 料理を作るのは嫌いではないけれど、つい「ちゃんとした料理を作らなくてはいけない」という意識が重荷になってしまう、という方は多いのではないでしょうか。今回は、台所に立つ人をそんな呪縛から解き放ってくれるような、“規格外”のレシピ本を3冊ご紹介します。, 新しい本との出会いを求めて書店巡りをしたり、初めて訪れる書店を探検したり、開拓するワクワク感を味わったり。もちろん欲しい本を探し求めて書店に足を運ぶなど、読書好きの方が書店を訪れるのにはさまざまな理由があるでしょう。今回は、書店を舞台に繰り広げられる物語を、本格ミステリから恋愛小説まで集めました。読み終えた時には書店に足を運びたくなるでしょう。, 猛暑が続く夏の夜、つい手に取りたくなるのは“ゾッとする”ような小説ではないでしょうか。今回は、暑さを吹き飛ばしてくれるような、結末に背筋が凍る珠玉の短編小説を8篇ご紹介します。, 沖縄を舞台にした小説、『首里の馬』で第163回芥川賞を受賞した高山羽根子は、人と物の記憶についての物語を端正な筆致で描く作家です。今回は、高山羽根子のおすすめの作品を3作品ご紹介します。, “怖い歌は必ずいい歌”と現代口語短歌の旗手・穂村弘は言います。今回は、どこかに“恐ろしさ”のエッセンスを感じる現代短歌の名歌4首を、クイズ形式でご紹介します。, 昭和を代表する稀代の流行作家・立原正秋”幻の作品”が50余年ぶりに発掘されました。その作品名は『海の見える街』。1965年「中学三年コース」5~10月号に6話連載されただけで、過去に一度も単行本化されていません。その貴重な作品に寄せられた池上冬樹氏による書評をぜひご一読ください。, 大人気作家最新作の創作の背景を、著者・池井戸潤にインタビュー!足袋作り百年の老舗が一世一代の大勝負に挑む!チームワークや、ものづくりへの情熱、勝利を信じる心…最後まで勝負に拘り、未来に立ち向かっていく姿には感銘を受けずにはいられない!, 仕事は、大人が生活していくためには避けては通れない道です。本当にやりたい仕事につけた人もいれば、そうでない人もいるでしょう。 島本理生「ナラタージュ」を読みました! 実は島本理生さんの本は初めて読んだのですが、胸にグッと迫ってくるような切ない物語に引き込まれてしまって一気読み! 今回は映画化もされた小説「ナラタージュ」のあらすじ・結末をネタバレをお届けします! 初めて本格的に書いたnoteである、「『小説』の価値」(https://note.mu/sawapple_7/n/n7752a6a29446)が計100スキを超えました…!ありがとうございます!!こんなにたくさんの反響をもらえるとは予想だにしていませんでした。なんとこのnote、合計3000人近くの方に読んでいただけているようで。note公式ツイッターにも載せていただいて、今週のおすすめノートにも載せていただいて、本当に感無量です。まさか初めて書いたものがここまでたくさんの人に届くなんて思ってなかった。, 自分の書いた文章を褒められるというのは、なによりも嬉しいものですね。私にとって「書く」という行為は、自分の心の奥底の、普段人にあまり見せないところを曝す行為であって、その分すごく不安になりながら公開しているので、良い反響があると本当に励みになります。, そのnoteでは、「小説は他人の人生を経験させてくれる存在である」と書きました。スキが100を超えた記念に、わたしが「人生を経験させてくれた」と感じた大切な小説を、5冊ほど紹介しようと思います! 新しく増えたフォロワーさんへの自己紹介も兼ねて。基本的には根暗なので、あまりハッピーな話は読みません。暗めの失恋小説が多いです。てかそういう話しかない…?そういうの読んでうわあんつらいーって泣いてばっかりの人生です(笑)なにか小説読みたいけどどれから読めばいいのかわからないな〜!という人の参考になれば幸いです。ネタバレはなるべくしないように努めます。, 言わずと知れた村上春樹の代表作。私にとってはもうバイブルとも言っていいほど読み返しているこの小説、なにが魅力って、「登場人物がみんなどこかしら歪んだり欠けたりしているのに、どこか身近にいそうなところ」なのではないかと思います。それが多くの人の共感を呼び、単行本文庫本合わせて1000万部以上売れるという結果に繋がったのではないかと。, この小説に出会ったのは、一昨年の夏。『ノルウェイの森』自体はずっと実家にあって、読んでみたいなぁと思っていたのだけれど、いい意味でも悪い意味でも有名な小説すぎて、なんだか手を出すのを憚られていたのです。しかしそんなときたまたま、仲のいい女の子が「とても素敵な小説だよ」と言ってくれて、意を決して読んでみることに。吸い込まれるみたいに小説の世界に落ちていって、2日で読み切ってしまいました。, この小説のテーマは、「哀しみ」です。生きていく上では避けられない、私たちを突如襲ってくる、どうしようもない哀しみ。, ちょうどこの時期の前後、精神的にすごくつらいできごとがあって。『ノルウェイの森』に描かれているどうにもならない生の哀しみが、その傷ついた心に呼応したのかもしれません。ひとつひとつの文が、心に染みていくようでした。, この台詞に出会ったのが、先ほども述べた通り少ししんどい時期だったので、私はとても救われた気持ちになったのでした。あぁ、いまは辛いけれど、いつかは楽になれるのだろうな、と。真っ暗な井戸の底に沈んでいたわたしに、一筋の光が差した瞬間でした(井戸の比喩を見てニヤリとした皆さん、お友達になりましょう)。, 『ノルウェイの森』、もはや、この作品に出会う前の自分がどうやってこの小説なしに生きていたのか思い出せないくらい、自分の根幹をなしている小説のひとつです。, 村上春樹は結構好きで、とりわけ初期の短編の作品群が好きですね。「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」とかは、たった五ページなのに人生のエッセンスが詰まっていて、本当に魅力的な物語だと思います。, 「『小説』の価値」にも書いたように、わたしが初めて長い間その世界観から抜け出せなくなった小説でした。どういう出会いだったのか、詳しくはそちらのnoteをお読みください。(https://note.mu/sawapple_7/n/n7752a6a29446), この小説に描かれているのは恋愛だけではありません。人生において出会ってしまうどうしようもない「悪」、癒えることのない心の傷、生き続けることの残酷さ…それらを通して、「人生」とはいったい何なのか、この小説は、そういった普遍的な問いを私たちに投げかけてきます。その点では、『ノルウェイの森』についても似ているかもしれません。, 留学先に持ってきそびれたので、お気に入りの台詞を紹介できないのが本当に残念…!私は基本的に読書をする際に、素敵だと感じた台詞や表現には付箋を貼るようにしているのですが、『ナラタージュ』はその習慣を始めたきっかけの本でした。付箋を貼ってふとした瞬間に読み返したくなってしまうくらい、繊細で美しい表現で溢れていたのです。何度も読み返したので、もう本屋さんでつけてもらったブックカバーも、だいぶ裂けてしまいました。, (ちなみに、この無地のブックカバーは、有隣堂書店さんのものです。全10色?くらいあって、それぞれの本に合わせて色を選ぶのが楽しくて、文庫本を買う際にはいつも有隣堂で買うようにしていました。), 島本理生の小説の魅力は、比喩表現の豊かさと、繊細な心情表現にあると思っています。他にも、『一千一秒の日々』『君が降る日』『週末は彼女たちのもの』などがお気に入り。あとは『恋のトビラ』というアンソロジーに収録されている、「初恋」という短編の物語、これもものすごく好き!ナラタージュと同じくらいには切なさに胸を打たれた話なので、島本さんの小説を読みたいなぁと思っている方には、絶対に読んでほしい物語のひとつです。, 人魚という名前の女の子が、生き別れの兄弟かもしれない嵐という男の子に出会って、恋に落ちていく物語です。, 開いて一ページ目にあるこの二文に、すっかり心を奪われてしまいました。恋を海の底に例えるそのセンスに震えました。透き通っていて、美しくて、それなのに悲しくて、上がってくることができない…。吉本ばななの美しすぎる恋愛観に圧倒された瞬間でした。, もう、すごくないですか、このフレーズ。読んでいるだけで胸がぎゅぅっと締め付けられてしまいます。, 吉本ばななご本人は、この小説をあまり気に入ってないようですが、わたしはこの爽やかさもとても素敵だと思っています。私のお気に入りにしては珍しく、ハッピーエンドで終わる小説です。, 個人的に、よしもとばななは、「心の傷とそこからの再生」というコンセプトの物語においては、右に出る作家さんはいないのではないかと思います。どんなに辛いことがあっても、静かに少しずつ、人は回復していくことができる。この世界には、思ったよりも素敵な出来事が、まだまだ溢れている。よしもとばななの小説を読むと、いつもいつも、そういった前向きで優しい気持ちになれるのです。, 他の作品では、『ハゴロモ』『デッドエンドの思い出』「ムーンライト・シャドウ」(『キッチン』所収)などが好きです。, 高校生のときに読んでみて、まったく魅力がわからず、むしろちょっと気持ち悪いくらいの感想を持った作品であったのに、大学に入ってから読み返したら、わかる、わかる…!と、グイグイ引き込まれ、ところどころ涙を流しながら、たった一日で読み切ってしまった小説。小説の魅力は、読み返して感想が変わるところにもあると思います。物語自体は変わらないから、感想が変わったということは、自分が変わったということ。そうやって、自分の変化を確認できるのも、読書の魅力のひとつなのではないでしょうか。この作品も、10年後の自分が読んだら、また違う受け取り方をするのだろうな。, ちなみに内容について述べると、猪突猛進超絶怒号疾風怒濤の片想い小説、って感じです!疾風怒濤と形容したことからも分かる通り、『若きウェルテルの悩み』くらいの激しさを想像していただけると助かります。可愛らしい猫の表紙からは予想もつかないくらいのヘビーな恋愛感情が、これでもかとばかりに物語中に渦巻いています。誰もが底なしの恋の沼に溺れているお話です。, これも、留学先に持ってきたと思ったのに、なぜだか見当たらない…!台詞を紹介できないのがまたもや残念。, 西加奈子の文章は、熱量がものすごくて、読んでいて大地震に巻き込まれたみたいな気持ちになるというか、心の奥底から揺さぶられる感じがしてとても好きです。『i』もとてもよかった。私もあんな文章を書ける人になりたい、と思わせてくれる作家さんの一人です。, 山田詠美はそれまで読んだことがなかったのですが、この小説をきっかけにハマってしまいました。まず、日本語が桁違いに美しい。谷崎潤一郎を彷彿とさせるような文学的世界観に、恍惚としてしまいます。この『風味絶佳』は短編集なのですが、その中でもとりわけ表題作の「風味絶佳」、大人の不器用な恋を描いた「海の庭」がお気に入りです。「滋養豊富、風味絶佳」とは、キャラメルのキャッチコピーのこと。これは、恋の風味をキャラメルになぞらえた物語なのです。主人公の志郎とそのおばあちゃん(通称:グランマ)の、それぞれの甘くてほろ苦い恋の行方はいかに。読み終わった後、いつもはっきりと舌にキャラメルの味が浮かんでくるので、山田詠美の文章力には驚かされるばかりです。, ちなみにこの「風味絶佳」、映画化もされていて、主人公の志郎を柳楽優弥、お相手の乃里子役を沢尻エリカが演じています。この乃里子が、結構あざと可愛いタイプの女の子で、物語中で主人公にこんなことを言うんですね。, なんかもう、こんなこと言えちゃう女の子、凄すぎる。いやまあ確かにそうだけど、その通りなんだけど、私には絶対言えません。さすが山田詠美としか言いようがありません。, 私にとって、本を読むということは心の薬のような存在です。落ち込んではいつも、言葉に救われる人生を送っています。これらの小説に出会わなければ、いまのわたしはいなかったと言っても、過言ではありません。, もしこの記事の評判が良ければ、お気に入りの本紹介第2弾、映画紹介や漫画紹介などもしたいなと思っています。ですので、気に入られた方がいらしたらぜひスキを押していただけると嬉しいです!, https://note.mu/sawapple_7/n/n7752a6a29446.